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【第1話~初めての秋田編~】 【第2話~初めてのなまはげ編~】 【第3話~五社堂対決編~】
【第4話~男鹿水族館GAOで恋愛のポイントを学ぶ?!~】 |
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| ◇最終話 ~そしてなぎさと2人の恋はどうなる?!!~ |
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大龍寺を後にした私たちが向かったのは次なる恋愛成就スポット・能登山です。成田さんによれば、能登山は椿漁港という港のそばにあって日本でもっとも北に椿が群生している地域として知られているんだって。見た感じ、山と言うよりは
小高い丘だけどね。私たちが訪れたときは椿の花は咲いていなかったけれど、ここにはとても悲しいお話が伝わっているそうです。成田さんが話してくれました。
「とぎ(遠い)北陸の能登というとごから船で男鹿さやってきたわげもの(若者)が地元のおぎだ(とても)ベッピンな娘っこ(娘)と恋に落ぢだどや。わげものは一度、男鹿をはないで(離れて)、故郷さ戻らねばなろねぐ(ならなく)なったんだども、2年後には必ず戻ってくると娘っこに約束したどや。娘っこは約束を信じてわげものの帰りをじっと(ずっと)待っていだども、2年経っても、わげものは戻らねがったんだ。わげものが男鹿さ戻ってきたどぎには娘っこはいっち(すでに)に死でだどや。
娘っこは、能登さ向がう船が難破して、わげものはいっちに死んでしまったど思って、海さ身を投げでしまったどや。わげものは悲しみ、なぎながら(泣きながら)山さ登って、椿の種を蒔で(蒔いて)娘っこのこどを偲んだどや。それが今の能登山なんだ・・・」
成田さんがいつもとは違うペースでゆっくりと語りました。
「ぐすっ・・・」
「かなしい話だな・・・」
2人につられて、いつの間にか私も涙を流してしまいました。能登山の椿には船乗りさんと娘さんの思いが詰まっているんだね・・・悲しい物語の舞台になった山だけれども今では永遠の愛を誓うために訪れるカップルが後を絶たないんだって。
「俺はなぎさちゃんを悲しませるようなことは絶対にしないぜ!!」健くんは力強く答えました。
「僕もです!!」誠一くんはメガネをクイッと上げながら話しました。
健くんはつぶやきます。「なんだか俺たちは焦りすぎているかもしれない。娘さんは船乗りの若者をずっと待ち続けていた。GAOの豪太くんとクルミちゃんだって時間をかけて愛を育んでいた。俺は時間をかけてでも、必ずなぎさちゃんとの愛を実らせてやる!!」誠一くんもはっとした顔で「僕、男鹿に来て自分自身や恋愛について見つめなおすことができたかもしれないです」と言いました。どうやら2人は能登山で決意を新たにしたようです。
いよいよ男鹿の旅も終りを迎えようとしています。3度目の男鹿も、あっという間でした。すっかり男鹿の虜になってしまった私は、このまま男鹿に住んじゃおっかな・・・と思ったりして。菅江真澄が男鹿を歩きまわって、記録した理由がよくわかります。あちこちに気さくで面白い人がいて、素晴らしい文化が息づいている、こんなところってそうそうないよね!
駅に向かう前に、最後に、成田さんがどうしても紹介したいという場所があるそうなので向かうことにしました。日本の渚100選にも選ばれている鵜ノ崎海岸。夕暮れ時にはカップルが集まる場所としても有名なんだって。海岸沿いの道を走る車の中で誠一くんが歓声をあげました。
「見て!夕陽がすっごくきれい!!」
私は窓の外に目をやりました。
「わ~ほんとだ!!ねえ、せっかくだからみんなで浜辺に出てみようよ」
成田さんに車を止めてもらって浜辺に降りました。真っ赤に染まって日本海に沈んでいく夕陽はまるで私たちを見送ってくれているようでした。海岸線がまるで影絵のように黒い影となり、赤い空がますます引き立っています。ずっとずっと、このまま眺めていたくなるようなそんな景色でした。
私は男鹿でたくさんの人に出会えて・・・あ、誠一くんと健くんのいつもと違った側面も見れて良かったと思っています。頼りない面ばっかり目についてしまったけど、男らしい一面も見れたし、見直しちゃった。
「なんとだ、きれいな夕陽だべ」
成田さんは私の肩を叩きました。
「成田さん、ありがとうございます。私、男鹿に来れて本当に良かったです。
「なぎさちゃん、礼には及ばね。へば、こごであの2人に最後の勝負をやってもらうがな」
「えっ?!」
2人も驚いた顔でこちらを振り返りました。成田さんが最後に出してきた提案は・・・
「夕陽に向がって、なぎさちゃんへの愛を叫ぶんだ。審査はなぎさちゃんにしてもらうが。なぎさちゃんを感動させた方が勝ぢだ」
えええええ~~~~~~!!!!???こ、ここで・・・?!!
「よっしゃあ!!成田さんありがとう!!」
「これが最後のチャンスですね!」
2人のボルテージが一気に上昇したようです。「この勝負に懸ける!!」と叫んだ2人は気合充分。もう!周りに他の人たちもいるんだから、もうちょっとテンション下げてよおおおお・・・と思ったら・・・
はっと気付きました。2人の顔が凛々しく見えるのです。さっきまでドジばっかりしていたのが嘘みたいです。真剣に気持ちを伝えよう・・・そんな思いが溢れているのがはっきりわかるのです。
あれ・・・?私、なんだかドキドキしちゃってる・・・?
夕陽を背にして2人は、私に向かって叫びました。
「なぎさちゃんのことが好きだーーーー!!!」
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・・・あれから5年後。私は2人で男鹿を訪れていました。
男鹿温泉郷の旅館・雄山閣のフロントで迎えてくれたのは・・・あの誠一くんでした。そして、な、な、なんと!私は健くんと一緒なんです!!私はあの日から健くんと交際をはじめて、この春に結婚したのでした。そして、誠一くんに会いに男鹿までやってきたのです。
部屋に通されると、自然と昔の思い出話になりました。
「誠一、鵜ノ崎海岸のことは覚えているか?」
「忘れるわけないでしょう、健くん。あのとき、君になぎさちゃんをとられちゃったんだから・・・」
あの日、2人の告白を真正面から受け止めた私は、感動で涙が止まりませんでした。最後に見せてくれた本気の姿。これに勝ち負けをつけるなんておかしいよ、引き分けにしよう・・・
こうして、鵜ノ崎海岸の勝負も決着がつかないかに見えましたが・・・浜辺から車に戻る途中、誠一くんが満足げに言いました。
「いやあ、いい旅でしたね。勝負が引き分けになったのは惜しいですけど。でも、2日間で僕はなぎさちゃんだけでなく、男鹿のことも好きになりましたよ!」
成田さんがニヤリと笑いました。
「誠一、おめーの負げだ」
「えっ?!」
「なぎさちゃんだげでなぐ男鹿に恋をしてなんとする。二股はだめだ」
えええええええええええ!!!!!!????????
むちゃくちゃな話ですが、こうして勝負がついてしまったのでした。しかも、成田さんの口車に乗せられて、大学卒業後、本当に誠一くんは男鹿に住んでしまったのでした。男鹿の生活はどうなんだろう?
「楽しいですよ。住んでいる人もあたたかいし、自然も豊かで。休日も充実していて最近は成田さんと一緒に男鹿の鉱物の研究をしています。あと、社長に教えられて菅江真澄について勉強も始めました。毎日、旅館の中で真澄の本を読まされ、講義も聞かされるんですが・・・社長は真澄のことになると、とにかくうるさいんですよ。大学の授業の方がよっぽど楽なくらいですね。」
「おお。その様子だと成田さんも山本社長も変わりないみたいだな?」
「相変わらず元気です。どこからあんなパワーが湧いてくるんでしょうね」
よかったよかった。ところで今日わざわざ男鹿を訪れた理由は他にもあるんだよね~。
「へへへ~実は今日は誠一に見せてやりたいもんがあってな・・・」
健くんがかばんの中から取り出したものは・・・ジャーン!!私と健くんの住民票です!
「そう、俺たちも男鹿に住むことにしたんだ!これからもよろしくな!」
誠一くんは青ざめた様子です。
「な、な、なんだって~~~~?!!!!ど、どうして、これから健くんの顔を見なきゃいけなくなるんですかっ!!よおおおおし!!健くん!食事が終わったら、赤神神社にいきましょう!!5年ぶりに勝負です!!」
「望むところだ!!今度こそ絶対負けねえからな!!」
「もう!!せっかく再会したのに!いい加減にして~~!!」
やれやれ・・・2人は5年経ってもこんな調子なんだから。ともあれ、私たちの新しい生活が始まります。いったいどんな毎日が待っているんだろう!私はこれから、男鹿ライフをめいっぱい楽しみながら、この街の魅力をもっともっと発見していきたいです! |
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| (おしまい!) |
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| (文・山内貴範・絵・緋辻) |
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※ この物語は男鹿を舞台にしたフィクションです。名称、モデルとなった人物などは実在しますが個人を特定するものではありません。
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| ◇作者紹介 |
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| 山内貴範 (やまうちたかのり) |
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秋田県羽後町に生まれる。ライターとして多方面で仕事を手掛ける。大学3年のときに手掛けた「かがり美少女イラストコンテスト」は全国的な広がりを見せる「美少女イラストを使った町おこし」のさきがけとなり、プロデュースで関わった「あきたこまち」は記録的な大ヒット商品となり注目を集める。なお、ネット上での個人サイト「はちぷち」は5,000件以上の建築を紹介し、ネット最大の建築情報サイトである。
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| 緋辻 (ひつじ) |
| 秋田県羽後町に生まれる。独学で漫画を学び、現在漫画雑誌などに投稿中。子供たちと漫画の楽しさを共有するため、現在奮闘中。 |
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