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| 担当者(以下T): 珈琲に興味を持ったきっかけはなんですか? |
| 佐藤さん(以下S): 当時通っていた大学の近くに喫茶店があったんです。そこによく通っていて、珈琲の入れ方なんかを教えてもらったりしているうちに、「焙煎」も自分でやってみたくなりました。見よう見真似で家のコンロでやってみたりしたんですけどうまくいかないんですよね。一日中コンロの前で焙ってみるんですけどやっぱりダメなんです。難しくて・・・。でも難しいからこそハマってしまったんです。 |
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| T: お店を始めてどれくらいですか? |
| S: 5年です。初めは豆の配達だけだったんですけど、家を改築する時にお店もつくりました。自慢は柱と梁です。この ・・・・柱と梁は改築する前の家の柱をそのまま使いました。 |
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| T: なぜそのまま使おうと思ったのですか? |
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| S: 先祖代々、大事に使われてきた柱と梁をそのまま残したかったからです。 |
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| T: その柱がいいアクセントになって、とても素敵なお店ですが、店名の「珈音」という名前もかわいいですよね。これは佐藤さんが付けたんですか? |
| S: はい、珈琲と音を合わせて 「珈音」と書いてみたら、それを奥さんが「かの ん」と読んだんです。それがとても心地よく聞こえたのでこの名前にしました。 |
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| T: 現在は五里合の珈琲屋さんとして親しまれている「珈音」さんですが初めは苦労も多かったのではないですか? |
| S: 大変でした。でもまじめに作っていればだんだん買ってくださるお客様が増えていくんだということが分かりました。 |
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T: ところでカウンターの奥にカッコイイマシーンがありますが、あれは焙煎機ですか?あのマシーンさえあれば簡単に焙煎できるのですね。 |
| S: そういうイメージがあるかもしれませんが実は違います。焙煎の仕方によって全く味が変わってしまうので機械まかせというわけにはいきません。季節によって焙煎の仕方を変えたりします。毎日の温度、湿度によっても微妙に違うんです。 |
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| T: じゃあ失敗することもあるということですか? |
| S: あります。火力によっても全く違う味になってしまいます。失敗すると「えぐみ」がでます。次の日に飲むとその違いがよくわかります。実は珈琲も焙煎したてと、数日経った豆とでは味が違うんですよ。 |
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| T: えっ!そうなんですか?初めて知りました。どちらが美味しいんですか |
| S: 焙煎してから数日経ったほうが美味しいです。 |
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| T: 珈琲がこんなに深いものだとは知りませんでした。今度からは知ったかぶりして飲んでみたいと思います |
| S: 珈琲はこれで正解!完成!というのがないのでおもしろいし、ハマるのだと思います。 |
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「珈琲作りは重労働で奥が深い」。と大変そうながらも楽しそうに話してくれた佐藤さん。私も今回取材をしてみて珈琲屋さんがいかに重労働なのかが分かりました。麻袋に入った60kgの珈琲豆。それをハンドピックし、焙煎機にかける。焙煎の間はまるでお店全体が焙煎機にかけられているよう。しかし、その暑さの中でも一時も気を抜けず、火力や温度を何度も何度も確かめ、納得のいく珈琲豆に仕上げて行く作業は、表の華やかな顔とは雲泥の差。 「珈音」さんの珈琲はこの努力があるからおいしいのですね。
※ハンドピック・・・いい豆と悪い豆を1つ1つ手作業でわけていくこと。
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| さて、続いては、佐藤さんのもう1つのライフワーク、「コントラバス」についてお話を伺いたいと思います。 |
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| T: 聞き出しが珈琲の時と一緒になってしまいますが、なぜ「コントラバス」を弾こうと思ったのですか? |
| S: これも大学の時なんですが、授業で必ず弦楽器を選択しなければならなかったんです。僕も最初はバイオリンが良かったんですが、バイオリンは人気が高くて、希望者が多い場合は学校で貸してくれるバイオリンが足りなくなるので、自分で買わなければならなくなるんです。「それは嫌だなぁ~」と思っていて、試しにコントラバスに手を挙げてみたら僕しかいなくて、すぐに決まってしまいました。「まあ、とりあえず弾いてみるかぁ~」くらいの気持ちで弾いたら意外に難しいんですよ。指で弾くだけでも難しい。でも難しいからこそハマってしまって、いつの間にか勉強そっちのけで夢中になってしまいました。それで夢中になりすぎてずっと弾いていたら大学の先生が「そんなに好きなら・・・」ってことで東京の先生を紹介してくれて、3年間東京に行ってコントラバス漬けの日々を送っていました。 |
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| T: スゴイですね。佐藤さんはほんわかした感じがあるんですが、意外に情熱的なんですね。そして難しいものにハマりやすい.。でも、そんなに夢中になっていたのになぜ秋田に帰ってくることになったんですか? |
| S: 「戻ってこないと卒業できないぞ~」と・・・。 |
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| T: なるほど。それは切実ですね。私は佐藤さんの演奏を初めてお聞きしたのは旧加茂青砂小のイベントの時でした。それから何回かイベントでお見かけしたんですが、お店で演奏会などはやらないのですか? |
| S: 年に何回かおこなっていて、ホタルが飛び交う季節と時間にあわせて開催したりしています。 |
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| T:それは素敵な演奏会ですね。今年はぜひ行きたいと思います。コントラバスは聞いているほうもあの低音が心地よかったりするんですが、佐藤さんも弾いていて気持ちの良い曲というのはあるんですか? |
| S: う~ん。たくさんありますが、しいて言うのであれば普通コントラバスでは弾かない曲なんですが、「無伴奏チェロ組曲」という曲ですね。 |
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| T: きっと本人だけしかわからない感覚なのかもしれませんがあえて突っ込んで聞いてみましょう。どんな風に気持ちいいのですか? |
S: コントラバスで無伴奏チェロ組曲を弾くのは、難しく、奥が深いです。
ただ難しいだけではなく、弾けば弾くほど、考えれば考えるほどいろいろなことがわかってきておもしろいです。他にこういう曲はないと思うし、20年弾き続けても飽きないような気がします。
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| T: では、最後の質問になりますが、みなさんに是非聴いてほしい曲などがありましたらお願いします。 |
| S: 「パブロ・カザルス」というチェロ演奏者が愛奏している「鳥の歌」という曲です。スペイン民謡で、第二次世界大戦後、平和の思いを込めてホワイトハウスで演奏した曲です。とてもいい曲ですので聴いてみてください。 |
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| ありがとうございます。では、最後の章に移りたいと思います。 |
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| T: 佐藤さんは一度秋田を離れ、東京で暮らしていますが、東京での生活はいかがでしたか? |
| S: コントラバスは楽しかったけど、人が多すぎてつらかったです。 |
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| T: 海が恋しくなりませんでしたか?私も男鹿を担当するようになってからちょっと行けなくなると海見たい!と思うようになりましたから。 |
| S: なりました。当たり前に見ていた風景がどんなにいいものだったか県外にでて分かりました。 |
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| T: 琴川はいい所ですもんね。 |
S: はい、琴川は昔からの里山が残されていて、昔話にでてきそうな所で、ここに生まれ育ったことを誇りに思っています
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T: 江戸時代の紀行家、菅江真澄も「琴川で花見をした」という日記を残しています。現代でさえ美しいですから真澄がいた200年前は書かずにはいられないほど美しかったのでしょう。ところで話は変わりますが、琴川といえば秋田県内で唯一「菅笠」を作っている地域なんですよね。 |
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| S: はい、僕も新聞記事で詳しく知ったんですが、作り手の高齢化で平成19年になくなってしまっていたんです。それをもう一度復活させようという動きが広まり、今年の4月に第1回目の菅笠作りを琴川公民館で行いました。 |
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| T: この会には私も参加させていただきました。ベテラン勢がいとも簡単にやるものだから簡単なんじゃないかと甘くみていたらとんでもなかったです。竹を削るのでさえ一苦労。でもとても楽しかったです。菅笠作りも良かったけど、色々な年代の方々との交流が楽しかったです。この会はまたやるんですよね。 |
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| S: はい、やります。今回は「すげ」がまだとれないので、骨組だけだったんですけど「すげ」がとれて乾燥させて使えるようになるのは7~8月くらいなのでその頃にまたやる予定です。 |
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| T: 楽しみです。自分の作った「菅笠」で早く男鹿を歩いてみたいと思います。 |
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| 秋田県男鹿市五里合琴川集落。水田の水が鏡のように近くの山々を映しだし、その傍らでは花が咲乱れる桃源郷のような春。夏になればホタルが飛び交い、秋はお色直しでその美しさを増し、冬の美しさもまた格別。昔話からそのまま抜けだしてきたような山里の村にひっそり佇む知る人ぞ知る心地の良い喫茶店。「こおひい工房・珈音」。珈琲のおいしさもさることながらオーナーのまっすぐで純粋な人柄が「珈音」が愛されている最大の理由ではないでしょうか。 |
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